くにびき神話で有名な大山、弓ヶ浜、そして島根半島。今頃の季節は、銀河が大山よりたちのぼり、ちようど真上を通り島根半島へと流れていく。
空においてもつながれている雄大なくにびきの叙事詩は、冬の夜空から生まれてきたのではないかとさえ、思えてくる。この神話が生まれた頃の星座の形は今とほとんど変わっていない。星空を仰いでいる時、突然なんともいえぬ懐古を感ずるのは、古代人の心と接触する瞬間だからかも知れない。当時の人々の心がそのまま遺伝子の奥深くに残された、遠く時代の流れの中を伝えられてきているに違いない、星を見て感ずる自然発生的な心を受け継ぎ、失わないと同時に、更に未来へと受け継いでいくことは、人間としてぼくらが行うべきひとつの方向でもあるのではないだろうか。
加藤 修一
1983年4月1日「米子星の会」会誌「星星」の冒頭の会長の全文です。
26年が経ち、わたしたちは当時の気持ちと変わらずに次の世代につなげていきたい。
2009年 池口 邦雄
|